混迷を極めるビジネス社会の人材戦略。採用の現場が何を考えどういった基準で新人を採用しているのか本音を知り尽くした就職情報誌元編集長のアドバイス。

内定はいただくものではない

面接では学生の「人柄」「取り組み方」を見て自社に合うかどうか判断している。人柄で職場の風土に溶け込めるかどうか、取り組み方で業務への適性を判断している。内定は待っていても飛び込んでこない。自分の特性を説明するにぴったりなエピソードを使って「私はこういう学生です」と売り込むしかない。

その際、エピソードをそのまま体験レポートするのではなく、そのきっかけが何であったか、プロセスにおいてどう工夫したかなどその背景を織り交ぜて説明することがポイントだ。

面接が迫ると、誰しもあれこれシミュレーションしてしまう。シミュレーションは情報という厚い衣を身にまとったクローン人間を作り上げることだ。食べ物に例えると、ネタの判別がつかないほど厚い衣の不味そうな天婦羅である。余計な衣をそぎ落とし旨そうなネタが顔をのぞかせパリッと揚がった天婦羅になると、相手は思わず手を出してくれるものだ。

面接では面接官の心証も大きなポイントだ。学生の第一印象で○×△をつけている。面接が進み○が×になっても×が○になることはない。自信無げな暗い表情では当然のように×がつく。採用選考は生き残りゲームだ。厳しいチェックの目をかいくぐってはい上がってくる人が採用される。第一印象で×がつけばその時点で一巻の終わりである。面接会場に入る前、気持ちを切り替えて「この会社が最高の舞台である」と自分に言い聞かせ、胸膨らませて入室することである。表情が輝いていると思わず○をつけたくなるものだ。

集団面接の留意点

最近の傾向として、初期段階の面接は一対一の個別面談より、グループ面接やグループディスカッションを採用している企業が多い。慣れないと周囲に影響されて失敗するケースがよくある。グループ面接とグループディスカッションについて留意点を述べておこう。

■グループ面接は数人の学生が一度に面接を受けるものだ。発言の順序によっても異なるが、最初に論理的で立派な話をされ戸惑ったり、自分と同じようなエピソードを先に喋られて面食らうこともある。慌てることはない。人は人と割り切り、自分の素顔をぶつけることだ。立派な話で採否が決まるわけではない。また、エピソードの体験レポートに終わらず、その背景にある自分の気持ちを語るのであれば十分差別化できる。

■クループディスカッションは一般的に、与えられた課題について討論させる。話の主導権を握ろうとテンションを上げて発言する学生がいるが、面接官には独りよがりの行動にしか映らないものだ。グループディスカッションはぶっつけ本番で構成されたメンバーである。相手がどういう学生かわからない。ひとあたり発言をする中で、素早く自分のスタンスを確立することである。状況を判断した上での発言ができていれば文句なしである。



元就職情報誌編集長。「人事担当者の心に届く自己表現」とは何かを指導。就職実践塾天ぷらの会を主宰。

黒住皓彦の著書
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